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誰でも気軽に立ち寄れて話せる場所を
- インタビュー
取材店舗：
えがおの家（龍安寺参道商店街）
懐かしさを感じる商店街で
嵐電の「龍安寺」駅から北に進めば龍安寺、南に行けば妙心寺に至る、“龍の道”のニックネームも持つ龍安寺参道商店街。昔ながらのスーパーや庶民的な飲食店、電気屋などの合間に住宅も並ぶ、懐かしさを感じさせる商店街です。
その一画に建つのが2023年1月21日にリニューアルオープンしたばかりの「えがおの家」。民家だった2階建てを、食事や休憩、歓談、さまざまな体験や教室などもできるようにリノベーションした、まさにコンビニエントな存在です。子育て世代が地域と繋がり集まれる場所になっており、商店街と子育て家庭の交流の場にもなっています。誕生する原動力になったのは「気軽に利用できる、悩みも聞いてもらえるような場所があれば…」という、幅広い世代からの願いでした。
理事長自身の経験が原点に
母体であるNPO法人「えがおの家」の理事長を務めるのは青木昌由美（あおき・まゆみ）さん。周囲からは“まゆみちゃん”と呼ばれています。龍安寺近くで生まれた青木さんは結婚後、伏見に家を構えて2人の子どもを授かります。ところが「上の子が1歳、下の子がお腹にいる時、離婚。シングルマザーになりました」と話します。その後、嵐山に移り住みますが、頼りにしていた実母が病気で他界。途方に暮れるなかで、同じアパートに住む人たちが力を貸してくれました。
「その時、助けられたことがありがたくて、自分もそんな人になろうと思いました」。子どもたちが4歳、5歳になった頃は、常に何人もの幼児が家にいるような状態に。「親の帰りが遅くなるとか用事があると聞くと、ウチで待たせていました。実の子もよその子も一緒に晩ご飯を食べて、お風呂入れて、ついでに泊まって帰ったら？みたいな感じの毎日でした」と笑います。
まるで家族か親戚のような付き合いの輪が次第に広がり、お互いの家を行き来する仲間が増えていくなかで、悩みを聞いたりすることも。「人の悩みは子どもや仕事、病気や家族のことなど多様ですが、突き詰めればそのほとんどは人間関係。何とかできないか、と考えたことが、このNPO法人の原点です」と話します。
京北町から龍安寺参道商店街へ
青木さんは心理学を習得するための勉強を開始。同時に、江戸時代に存在した寺子屋のような施設も作りたいと考えるようになります。「どんな時代でも家庭が平和なら、大人も子どもも笑顔でいられます」。そのために支え合ったり、悩みが話せる、気晴らしもできる場所を作りたい、その一心からNPO法人を立ち上げました。
最初に拠点を構えたのは京都市の山間部に位置する京北町。その後、2021年に龍安寺参道商店街が運営するコミュニティスペース「とんぼの家」内に移転します。「まもなく、道を挟んで向かい側に広い物件が空いたので、昨年末に引っ越し。リニューアルオープンしたのです。」
気軽に立ち寄れる工夫がいっぱい
商店街に面したスペースに設けられているのはテラス席。大きな窓から通りが眺められる明るい1階には、キッチン、テーブル席や乳幼児連れでも利用しやすいローテーブル席があり、その向こうには壁一面にホワイトボードが貼られた和室が続きます。
「バランスの取れた食事の用意もできますし、料理や飲み物の持ち込みもOKです。肘掛け付きのリクライニングチェアを置いた授乳室、おむつ交換室も備えていますので、ゆったり過ごしていただけます。夏の間は裏庭のデッキスペースでBBQや花火もします。」
多彩な取り組みも実施。近くにある立命館大学生による学習支援、クラフト作りが楽しめる教室、発酵料理の教室、現役教師を招いての小学校入学準備講座など、その内容は多岐に渡ります。
「えがおの家」ができたことで、商店街と子育て家庭の交流も生まれています。「えがおの家」の利用者の中には、商店街のお店にひとりで行き、初めてのおつかいに挑戦したお子さんもいるんだとか。商店街の中にあるカフェを利用したお子様連れの方が、「トイレを貸して」と駆け込んでくることもあるそうです。
「一人でも多くのお母さん、お父さん、子どもたちに笑顔になってもらうのが私たちの目標。そのため、気軽に立ち寄っていただけるような取り組みを行っています」。10年先の目標は、全都道府県に「えがおの家」を作ること。青木さんとスタッフは笑顔を絶やさず、日々エネルギッシュに活動しています。
龍安寺参道商店街のきょうと子育て応援施設「えがおの家」の活動は
HPからご確認ください。
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